「ミジンコでございます。」

佐藤まどか さく
山村浩二 絵
フレーベル館

ミジンコは からだが スケスケなので たべたものが まるみえなんです。また、 しょうめんから みると「ひとつめこぞう!」なぜなら たくさんの めが あつまった「ふくがん」というものだからなのです。目にみえない(1ミリメートルの大きさ)けれど たくさん いるミジンコの ようすを ユーモラスに えがいています。

[出版年] 2018年   [対象]幼~大人

[コメント]ミジンコを食べる魚から 人間への 命のつながりも 考えさせます。

「あん」

ドリアン助川 著
ポプラ社

小さなどら焼き屋で日がな一日鉄板に向かってどら焼きを焼く千太郎のもとにある日、一人の老婆、徳江が訪れる。徳江は、あん作りの名人だった。いつしか一緒にどら焼きのあんを作ることに。偏見の中に人生を閉じ込められた徳江と生きる気力を失っていた千太郎が、それぞれの人生を背負いつつも新しい道を見つけようとして行く。
誰にも生まれてきた意味がある。その言葉を本当にそうだと心に深く刻むことが出来る一冊です。

「犠牲のシステム 福島・沖縄」

高橋哲哉 著
集英社新書

経済成長や安全保障といった共同体の利益のために、誰かを「犠牲」にするシステムは正当化できるのか?
原発推進政策に潜む「犠牲」のあり方を暴露した原発事故。日米安保体制における「犠牲」のあり方を暴露した沖縄の基地問題。
この二つのことから見えてくる日本人の無意識の植民地主義を丁寧に分析し、意識しなければならないことを明らかにする一冊。
この現実を踏まえ、私たちはどうしていくべきかを考えたい。

「税金を払わない巨大企業」

富岡幸雄 著
文春新書


国税庁職員として働き、大学で税務会計学を創始し、数多くの会社の顧問もしてきた筆者が、今の税制を鋭く批判し、対案を示しています。
「消費税のような普遍的な間接税は租税の基本理念に反している。所得課税の欠陥を是正すれば、消費税は不要です。」と語ります。
本来、大企業が納めるべき税金を納めなくてもいいようにと法制を歪めてまで徴税を怠っていることを実例を挙げながら解いてくれる一冊。
年収400万円のサラリーマンで課税所得が約140万円の場合、控除額によっても異なるが所得税を年間14万円以上払っているが、ある大企業の課税のされ方を当てはめるとたったの737円しか納めていないことに…。実に1/200の負担しかしていないのです。

「県庁おもてなし課」

有川浩 著
角川文庫

この作品は、実際に著者の有川浩さんが高知県のおもてなし課から観光特使に任命されたことをモチーフに書かれた作品です。
登場する県庁職員の「お役所仕事」ぶりを読みつつ、自分自身の仕事の仕方をついて見直してしまいます(笑)。
観光特使に任命された東京在住の作家吉門とおもてなし課でお役所仕事をしてしまっている掛水が最初はギクシャクしながらも高知をどうするかで仲が深まっていく。そこに民間感覚をもった女子バイトの明神や元県庁職員の清遠らが絡みあい、面白く混ざり合っていく物語。
有川浩さんの軽快な文章で、読みやすく、ちょっとドキドキしながら、そしてナルホドと思いながら、あっと言う間に読めてしまう一冊です。

「ピケティ入門~『21世紀の資本』の読み方」

竹信三恵子
金曜日

フランスの経済学者であるピケティが2013年に出版した『21世紀の資本』が米国でヒットした後、中国、韓国、そして日本でも大きな話題となっています。
この原書は700頁を超える本です。そこに書かれたピケティのメッセージを分かりやすく解説しています。
格差は放置すれば拡大するというものという一見がっかりするような論なのですが、同時に、だからこそ人為的に力を加えなければ(たとえば富裕層への課税強化)平等な社会の実現は難しいという力強い主張が展開されています。この平等へ向けた格差縮小の力を創出することこそが人類の知恵の発揮のしどころという彼からのメッセージを受け、日本の私達はどう行動していくべきかを考えられる一冊です。

つながる図書館―コミュニティの核をめざす試み

猪谷千香
ちくま新書

全国の公立図書館は、地域を支える情報拠点として、また町づくりの中核施設にもなっています。そうしたいくつかの図書館を取り上げ、図書館の在り方を考えさせる一冊となっています。特に注目したいのは、佐賀県にある「武雄市図書館」と「伊万里市民図書館」。両市はいずれも約5万人の人口の自治体。両図書館は距離にして20㎞ほどしか離れていません。「武雄市図書館」は、レンタルショップ「TSUTAYA」などを経営する企業CCCが指定管理者となって運営されています。一方、「伊万里市民図書館」は、行政と市民が対話をしながら作り上げた図書館で、毎年市民が開館日を図書館の誕生日として祝うそうです。この二つの図書館を比較する章を読むと、公立図書館とは一体、誰のために、何のために存在するのかが浮き彫りになってきます。名古屋の図書館をどうしていくかを考えるにあたり、読んでおきたい一冊です。

「おこぼれ経済」という神話

石川康宏
新日本出版社

アベノミクスは着実に進められているのにもかかわらず、どうして私たち国民の生活は改善されないのでしょうか。それは、「大企業が潤えば、いまに国民も潤う」という「おこぼれ(トリクルダウン)経済」論のもと、このアベノミクスが進められているのですが、今はもう大企業が潤えば、大企業の内部留保が溜るだけになっているのです。その仕組みが解説されています。そして、この流れを跳ね返す「国民が潤ってこそ、企業も経済も成長する」という着想からの取り組みが紹介されています。これを力に、新しい流れを!

小さなものの諸形態

市村弘正
平凡社ライブラリー

ここでいう「小さなもの」とは、時代の主流とされる“大きなもの”の脇で、あるいはその底で忘れ去られ、打ち棄てられつづけてきた様々な形象の請である。それらは、廃墟、残像、文化崩壊、敗北等…「ぼくの時代のネガティヴな面」(カフカのノートから)でもある。
それら“小さなもの”を大きなものの埋め草として、そのすき間にはめこんで理解・解釈してしまうのでなく、小さなものどもの言葉にならぬ“声”の持ちうる最小の意味だけをすくいとろうとする散文の試みがこの本である。小さな本であり、社会科学的な概念分析でなく、いっけん決して読みにくくはない、のだが…。一読をおすすめする。

しょうぼうじどうしゃじぷた

渡辺茂男作 山本忠敬え
福音館書店 絵本

古いジープを改良して作られた、ちびっこ消防車の「じぷた」。いつも、立派なはしご車の「のっぽくん」や、高圧車の「ぱんぷくん」、救急車の「いちもくさん」をうらやましいなと思っていました。
でもじぷたにしか出来ない仕事があったのです。ある山小屋で起きた火事、狭くて険しい山道も平気なじぷたが大活躍。みごと火事を消しました。それから、じぷたは子どもたちにこう言われるようになりました。
「やあ、じぷたがいるぞ!ちびっこでも、すごくせいのうがいいんだぞ!」

正確で温かみのある絵と、子どもの気持ちに沿ったストーリーが、よく調和した絵本です。